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[全文公開] 研究開発税制の不適用措置と当初申告要件

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研究開発税制など租税特別措置法上の優遇税制は、確定申告書等に一定の明細書の添付が必要となる当初申告要件を満たす必要があるため、事後的な適用は受けられない( 措法42の4 [21]等)。ここでの“一定の明細書”には、「特定税額控除規定の適用可否の判定に関する明細書(別表六(七))」も含まれるという。

以下の要件①~③のいずれにも該当しない資本金1億円超の大企業は、賃上げや投資に消極的であるとして、研究開発税制や5G導入促進税制などの特定税額控除規定を適用することができない(不適用措置、 措法42の13 ⑤)。

要件①:所得金額が前年度以下

要件②:継続雇用者給与等支給額が前年度分を超えること

要件③:国内設備投資額が当期償却費総額の30%を超えること

大企業が研究開発税制等の適用を受けようとする場合、控除を受ける金額の計算に関する明細書(別表六(九)等)に加えて、要件①~③のうち1つ以上に該当し、不適用措置の対象外となることを示す「特定税額控除規定の適用可否の判定に関する明細書(別表六(七))」の添付が必要だ( 措法42の13 ⑧)。いずれの明細書も当初申告要件を満たすための“一定の明細書”に該当するため、確定申告書等には、記載事項を満たした状態で両方の明細書を添付することが必要となる。

なお、令和4年度改正により、事業年度終了時点で資本金10億円以上、かつ、常時使用従業員数が1,000人以上で、前期黒字の企業については、要件②が強化された( №3706 )。令和4年4月1日から令和5年3月31日の間に開始する事業年度については、強化後の要件②が、継続雇用者給与等支給額の対前年度増加率が“0.5%以上”だが、令和5年4月1日以後開始事業年度については、対前年度増加率が“1%以上”となる点に注意したい。