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[全文公開] 国税庁の令和5年度税制改正意見

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国税庁は毎年、税務署等の現場の意見も踏まえ、検討が必要と考える措置に関して財務省主税局に「税制改正意見」を申し入れている( №3604 等参照)。令和5年度の税制改正では実現されなかったが、国税庁の「令和5年度税制改正意見」では、一定の「租税特別措置法上の税額控除等に係る根拠資料の電子保存要件の付加」や、「非上場会社の株式等の異動に関する調書の新設」などを挙げている。

大規模法人ではWeb会議システムを活用したリモート調査が行われることがある。だが、法人の書類のデータ化が進まず、調査官が法人の全国の支店等にある書類の確認のため現地に出向いたり、書類を郵送してもらうなど、調査官と法人双方に負担が生じることがあるようだ。

そこで、資本金1億円超の電子申告義務化法人を対象に、「研究開発税制」において、「試験研究費の額」の該当性を検討するため、その費用の用途等を明らかにする資料の電子保存要件を付加することを意見した。同法人を対象に、「交際費等の損金不算入制度」において、交際費等から除かれる「一定の飲食費」の該当性を検討するため、飲食に参加した得意先の氏名等を記載した書類等の電子保存要件を付加することも挙げた。

また、現行では「株式等の譲渡の対価等の支払調書」などの情報に基づき、非上場株式等の譲渡や贈与に係る非違が把握されているが、その端緒把握の安定性に欠けるようだ。そこで、非上場会社で株主等の異動があった場合に、会社がその情報を記載し提出する法定調書の新設を意見している。

なお、あくまで改正意見であり、今後改正が決まっているものではないが、過去には、平成30年度の税制改正意見に盛り込まれた「情報収集権限の整備」(情報照会手続の整備)が31年度改正で実現するなどしている。