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[全文公開] 集中豪雨と所得税の軽減措置

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先般の台風第2号や九州北部・近畿・北陸・東北地方など全国的な大雨等により被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。

風水害等の自然災害で住宅や家財等に損害を受けた場合、確定申告において所得税法に定める雑損控除又は災害減免法により所得税及び復興特別所得税(所得税等)を軽減できる。

雑損控除は、生活に通常必要な資産が災害等により損害を受けた場合、所得金額から「損失額-所得金額×1/10」と「損失額のうち災害関連支出の金額-5万円」のうち多い方の金額を控除できる( 所法72 )。その年で控除しきれない場合、損失が生じた年から連続して確定申告書を提出することで、翌年以後3年間に控除の繰越しが可能だ( 同71 )。生活に通常必要な資産とは、事業用固定資産等又は別荘や1個・1組の価額が30万円超の貴金属等のいずれでもない住宅や家財をいい、保有目的・使用状況等によっては価額の多寡等にかかわらず車両も対象となる。申告には確定申告書に雑損控除に係る事項を記載し、災害関連支出の金額に係る領収証の添付等を要する( 所令262 ①)。

災害減免法は、被災年の所得金額が1,000万円以下で、かつ、保険金等控除後の住宅又は家財の損失額がその価額の2分の1以上である場合、所得金額が500万円以下の場合は所得税等の全額免除が可能。500万円超750万円以下の場合は所得税等の1/2を、750万円超1,000万円以下の場合は所得税等の1/4を所得税額からそれぞれ軽減できる(災免法2)。適用に当たっては、確定申告書等に適用を受ける旨、被害状況及び損害金額を記載する。

いずれの方法でも、自治体の発行する「り災証明書」を申告書等に添付又は税務署の職員への提示が求められる。

なお、雑損控除の損失額の計算上、受領した保険金等は資産に生じた損害金額から控除する必要があるが、被災に伴い地方公共団体から受け取った義援金は控除を要しない(義援金に関する税務上の取扱いFAQ・Q11)。