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[全文公開] 新設法人と登録通知未達のインボイス

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新設した法人(売手)は、事業を開始した課税期間の末日までに、その課税期間の初日からインボイス発行事業者の登録を受けようとする旨の申請をして、その登録がされた場合、同課税期間の初日において登録を受けたとみなされる。

この場合、登録日となる課税期間の初日からインボイスの交付義務が生じるが、登録通知を受けるまでの間はインボイスを交付できないため、売手は一定の対応をとることになる。

「①インボイスの交付が遅れる旨を取引先に伝え、通知後にインボイスを交付」、「②通知を受けるまでは登録番号のない請求書等を交付し、通知後に改めてインボイスを交付」、「③通知を受けるまでは登録番号のない請求書等を交付し、その請求書等との関連性を明らかにして、インボイスに不足する登録番号を知らせる」といった方法で、登録通知を受けるまでの間のインボイスの交付義務に対応できる。①②③のような顧客への個別の事後対応が難しい小売店等では、HP等に登録番号を提示等することで対応可能だ( №3766 等)。

取引先である買手は、①②③等により売手から事後的に交付されたインボイスや登録番号のお知らせ等を保存すれば仕入税額控除を適用できる。消費税の申告期限までに、その取引に係るインボイスや登録番号のお知らせ等が届かない場合でも、事前に売手がインボイス発行事業者の登録を受ける旨を確認できれば、売手から交付された登録番号のない請求書等に基づき仕入税額控除が可能だ。

ただし、あくまでも売手からインボイスや登録番号のお知らせ等の交付を受け、その保存が必要となる。事後的にインボイス等の交付を受けることができなかった場合は、その仕入税額控除を行った翌課税期間に控除税額を調整する(国税庁「お問合せの多いご質問(令和5年8月21日掲載)」問②等)。