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[全文公開] 低未利用地等と譲渡所得の特別控除

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本年10月、土地の利用状況等を世帯別に把握する「住宅・土地統計調査」が5年ぶりに実施される。平成30年の前回調査では、利用のない空き家が30年前の約2.7倍に増加した。このような問題を解消すべく、令和2年度税制改正で創設されたのが低未利用土地等の譲渡特例だ。

本特例は、個人が配偶者や同一生計親族等の特別な関係ではない者に対して、都市計画区域内の低未利用土地等を500万円以下で譲渡した場合、長期譲渡所得の金額から最大100万円を控除できる制度( 措法35の3 等)。低未利用土地等とは、一時的な資材置場や長期の利用がない空き地など、居住や事業等に用いられていない、又は周辺地域より利用の程度が著しく劣る土地をいう(土地基本法13④)。

令和5年度税制改正では、低未利用土地等が特定の地域にある場合、譲渡価額の限度額を800万円以下に引き上げる措置を講じた( 措法35の3 ②二等)。低未利用土地等における500万円超800万円以下での取引件数が、増加傾向にある等の実態を踏まえたものだ。他にも、適用期限の3年延長(令和7年12月末まで)や、譲渡後の用途からコインパーキングが除外された。本改正は令和5年1月1日以後に行う譲渡に適用され、同日前に譲渡した場合は従前どおりに扱われる。

本特例の適用に当たっては、低未利用土地等の所有期間が譲渡した年の1月1日時点で5年を超えること、譲渡後に土地の利用が見込まれること等を市区町村長が確認した「低未利用土地等確認書」等を、申告書に添付し所轄税務署長に提出する必要がある( 措法35の3 ④等)。市区町村にもよるが、同確認書は申請から交付まで約1~3週間程度を要するため、申告期限に間に合うよう余裕をもって申請されたい。