※ 記事の内容は発行日時点の情報に基づくものです

[全文公開] 今週のFAQ(5/10/16)<非居住者の渡航費の源泉徴収を巡る事件の状況>

( 51頁)

№3728 「東京地裁 非居住者の渡航費の源泉徴収を巡り国勝訴」について、同事件の現在の状況を教えてください。

二審の東京高裁でも国が勝訴し、同事件は既に確定しています。

同事件は、コンサート事業等を行う原告(法人)が、外国音楽家を日本公演に招いた際に、外国芸能法人等に対して支払った外国音楽家の“渡航費等”が「人的役務の提供に係る対価」に該当し、源泉徴収すべきか否かを巡り争われました(令和3年(行ウ)第268号、令和4年9月14日判決)。

一審の東京地裁は、「人的役務の提供に係る対価」を規定する 所得税法161条 〈国内源泉所得〉1項6号の文理解釈等を踏まえ、「人的役務の提供に係る対価」は収入金額の総額を意味し、同対価を得るために要した費用相当の支払額(本件渡航費等)を含むものといえるとしました。その結果、本件渡航費等は、国内源泉所得である「人的役務の提供に係る対価」に該当するため、原告は本件渡航費等の源泉徴収義務を負うとし、国が行った源泉所得税等の納税告知処分(約1,000万円)及び不納付加算税の賦課決定処分(約100万円)は適法と判断しています。