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[全文公開] 過納額と所得税徴収高計算書

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従業員が適用した保険料控除や住宅ローン控除等の控除額が年末調整後に増えるなどして、会社が従業員から源泉徴収税額を多く徴収した場合、従業員に返還すべき額(過納額)が生じる。この過納額が、会社が納めるべき12月分の源泉徴収税額を上回る場合、12月分の納付額は0として「給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書(納付書)」を提出し、相殺しきれない残額は翌年1月分の納付額と精算する。

「給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書(納付書)」とは、会社が、従業員に対して支払う給与や退職手当、税理士報酬等について源泉徴収をした所得税等を納付するときに、納付期限(原則、給与等支払月の翌月10日)までに提出する書類のこと( 所法183 ①、 220 等)。通常、1月分から11月分までについては、従業員の給与等から実際に徴収した源泉徴収税額を記載して提出するが、12月分については、年末調整の計算後に生じる過納額や不足額を考慮して記載する。

例えば、A社の12月分の源泉徴収税額の合計が80,000円で、年末調整の計算後に生じる過納額が100,000円の場合、所得税徴収高計算書(納付書)の「年末調整による超過税額(▲)」の欄には、12月分の源泉徴収税額の合計“80,000円”を記載し、「本税」の欄を“0”とする。このように納付額がない場合も、原則として翌年1月10日までにe-Taxで送信、又は、所轄税務署に郵送等することが必要だ。

過納額の残り20,000円(=100,000円-80,000円)は繰り越して、翌年1月分の源泉徴収税額と精算する。翌年1月分の所得税徴収高計算書(納付書)については、原則として翌月の2月10日までに提出すればよい。

なお、納付額がある場合の所得税徴収高計算書(納付書)については、e-Tax送信、所轄税務署での提出・納付のほか、金融機関での提出・納付もできる( 所法220通法34 ①)。