概要

※ 本コンテンツは刊行日時点の情報に基づくものです

<通達本文>

(1) 税務上,棚卸資産等の販売については引渡基準により,また請負工事の収益については完成基準により,それぞれ益金の額に計上するのが原則であるが,リース譲渡と長期大規模工事等については,収益・費用の帰属事業年度の特例が設けられている。

(2) 法人が,リース譲渡を行った場合において,そのリース譲渡に係る収益の額及び費用の額につき,そのリース譲渡の日の属する事業年度以後の各事業年度の確定した決算において延払基準の方法により経理したときは,その経理した収益の額及び費用の額は,当該各事業年度の所得の金額の計算上,益金の額及び損金の額に算入することができる(法63①)。

「リース譲渡」とは,法人税法第64条の2第3項《リース取引に係る所得の金額の計算》に規定するリース取引(いわゆるファイナンスリース取引)による同条第1項に規定するリース資産の引渡しをいう。

また,延払基準の方法とは,次の算式により計算した金額をその事業年度の収益の額及び費用の額とする方法をいう(令124①)。

① 利息相当額を区分しない方法

(注)1 「賦払金割合」とは,次の算式により求めた割合をいう(令124②)。

(算式1)

(算式2)

2 適格分割又は適格現物出資(以下「適格分割等」という。)により分割承継法人又は被現物出資法人にその契約の移転をするリース譲渡の賦払金割合を求める場合は,上記算式1及び2の「当期中」は,当該適格分割等の日の属する事業年度開始の日から当該適格分割等の日の前日までの期間となる(令124②)。

② 利息相当額を区分する方法

(収益の額)

(費用の額)

(注)1 「利息相当額」とはリース譲渡の対価の額に含まれる利息に相当する金額をいい,「元本相当額」とはリース譲渡の対価の額から利息相当額を控除した金額をいう。

2 「利息相当額」を,リース譲渡の対価の額からその原価の額を控除した金額の20%に相当する金額とするなどにより,収益の額及び費用の額を計算する特例によることもできる(令124③④)。

(3) 法人が,長期大規模工事に該当する工事(製造及びソフトウエアの開発を含む。以下同じ。)の請負をしたときは,その長期大規模工事について,その着工事業年度からその目的物の引渡しの日の属する事業年度の前事業年度までの各事業年度の所得の金額の計算上,以下の算式に示した工事進行基準の方法により計算した金額を,益金の額及び損金の額に算入する(令129③)。

(収益の額)

(費用の額)

この長期大規模工事とは,以下の要件の全てを満たす工事をいう。

イ その着手の日からその工事に係る契約において定められている目的物の引渡しの期日までの期間が1年以上(注)であること(法64①)。

ロ その請負の対価の額が10億円以上(平成10年4月1日から平成13年3月31日までの間に締結する請負契約に係る工事については150億円以上,平成13年4月1日から平成16年3月31日までの間に締結する請負契約に係る工事については100億円以上,平成16年4月1日以後に締結する請負契約に係る工事については50億円以上(注))の工事であること(令129①,平10改正令附則16)。

ハ その工事に係る契約において,その請負の対価の額の2分の1以上がその工事の目的物の引渡しの期日から1年を経過する日後に支払われることが定められていないものであること(令129②)。

(注) 平成20年度の税制改正により,平成20年4月1日以後に開始する事業年度において着手する工事について,工事期間要件が2年以上から1年以上に,請負金額要件が50億円以上から10億円以上に,その範囲が拡大された(令129①)。

ただし,経過措置工事については,平成20年度の税制改正前の規定が従来どおり適用されることとされている(平20改正法附則19,平20改正令附則18)。

この経過措置工事とは,平成20年4月1日から平成21年3月31日までの間に開始する事業年度において着手する工事で,工期1年以上,かつ,請負対価10億円以上の工事(工期2年以上,かつ,請負対価50億円以上であるものを除く。)のうち,いずれかについて当該事業年度の確定した決算において工事進行基準の方法により経理しない場合の当該事業年度において着手した全ての工事をいう。

なお,長期大規模工事以外の工事で,その着工事業年度中にその目的物の引渡しが行われないものの請負をした場合において,着工事業年度からその工事の目的物の引渡しの日の属する事業年度の前事業年度までの各事業年度の確定した決算において工事進行基準の方法により経理したときは,その経理した収益の額及び費用の額は,当該各事業年度の所得の金額の計算上,益金の額及び損金の額とすることができる(法64②)。

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