被相続人が履行した連帯納税義務の求償債権の相続(1-1-2(1))
<問>
被相続人Aは12年前の年の4月1日に死亡(第1次相続の開始)し,Aの相続人B(Aの妻)及び子C・D・Eがそれぞれ財産を相続し,全員が申告期限までに納税を済ませました。この相続税の納税については,Bが相続により取得した預金を取り崩してC・D・E分の相続税の全額を相続税の納期限内に支払っていました。
その後,Bが今年の6月5日に死亡(第2次相続の開始)しましたので,税理士である私に対してC・D・Eから相続税の申告について申告書の作成の依頼を受けました。現在,第1次相続の被相続人Aの相続によりC・D・Eの相続税額をBが負担した件が検討課題となっています。つまり,本来連帯納付義務に基づきBがC・D・Eの相続税を支払うことは法的に問題ないわけですが,Bには当然C・D・Eに対する求償権が発生し,この求償権(債権)は,Bの相続財産を構成することになるのではないかと思います。しかし,C・D・Eからは,Bから贈与を受けたとの説明を受けていました。これといってBから求償権を放棄したことを証する書面や,当時の納税額相当の資金贈与を証明する書面等の資料はありませんし,贈与税の申告はしていません。C・D・Eの説明によると,Bが税金は自分が支払うと言われ,C・D・Eは当初より返すつもりは全くなく,その後も返済についての請求はなく,返済は一切しておらず,もらったとの認識です。また,Bも返してもらう気はなかったとのことです。贈与であれば,結果として時効(国税の課税の除斥期間)により相続財産に入らないと考えられますが,物的資料が乏しい贈与であればその事実をどのように証明しなければならないかという問題が発生します。
Bの相続財産の確定に当たり,Bが連帯納付していたC・D・Eの相続税相当額の取扱いについて,求償権として財産にあげるべきか,それともC・D・Eに贈与(12年前の納付時の贈与)について,贈与税の申告はしていませんが,結果として時効を理由に,求償権を相続財産から外せるものなのか,上記の状況の中で,何らかの解決策の余地があるのでしょうか。
相続税法第8条第1項の規定では,対価を支払わないで,又は著し………
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