被相続人の預金が相続開始前に引き出されていた場合の相続税の申告と調査(1-1-2(32))
<問>
相続税の申告代理を被相続人の長男から税理士として委任を受けました。
被相続人(妻)の夫はすでに10年以上前に他界しており,被相続人は高齢者で老人ホームに入居中に死亡しました。同人は介護認定は受けておりませんが,認知機能は十分ではなかったようです。
相続人は,被相続人の長男及び長女(他家に嫁いでいる成人)の二人で,相続財産は被相続人及び長男家族の居住用の土地家屋と被相続人名義の預貯金のほか証券投資信託があります。
申告書の作成準備のために預金通帳を調べましたところ,相続の開始前の5年間に多額の預金の引き出しがなされておりました。預金通帳等の管理は長男がしていたようですので,長男に「生前に引きだした多額の預貯金の使途」について質問しましたが,長男は母親のために使ったというだけで,具体的なことは何も答えてくれません。
長男は,金融機関等の当該相続の開始の日の預貯金等の残高証明書を持参して,これに基づいて申告書を作成して欲しいといわれましたので,相続税の申告に際しては,残高証明書に記載されている預貯金等の残高のみを基礎として申告書を作成して申告をする予定です。
この場合に,税務調査があったときには,どんな点が調査の対象とされるのでしょうか。過去における預貯金の引き出し額の使途の追及はされないのでしょうか。また,その使途によっては,相続税の課税に関係するのでしょうか。
相続税の課税要件である「相続又は遺贈により取得した財産の価額………
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