被相続人の高度障害に起因して配偶者が保険金受取人として取得した保険金と相続税(1-1-3(3))
<問>
<事実の概要>
被相続人甲は昨年1月に高度障害になり,同年4月に生命保険金1億円が支払われることになりましたが,保険金は配偶者乙(相続人)が受取人として受領しました。
同年5月に相続が開始しましたが,その直後の6月に相続人である配偶者乙と長男丙は,この高度障害保険金を原資として,新たな生命保険に加入し,保険料2,000万円(乙,丙それぞれ1,000万円ずつ)を一括で支払いました。
同年10月になり,被相続人の債務(住宅ローン)の支払いのために,遺産分割協議書の作成を弁護士に依頼したところ,すべての相続財産を配偶者乙が相続するという内容で遺産分割が成立してしまいました。
そこで,相続人乙及び丙による遺産分割前の相続財産の一部処分(生命保険の加入)とその後の遺産分割(弁護士による分割協議書の作成)との関係をおたずねします。
<前提条件>
① 高度障害保険の保険料の負担者:被相続人甲
② 被保険者:被相続人甲
③ 保険金受取人:配偶者乙
④ 相続人乙及び丙(長男)が加入した新たな2口の生命保険契約は次のとおりです。
<質問事項>
昨年10月の遺産分割では,すべての相続財産は配偶者乙が相続するという内容になっています。しかし,この遺産分割協議は相続開始直後(同年6月)の生命保険の加入によって,相続財産の一部をすでに配偶者乙が1,000万円,長男丙が1,000万円取得していることを単に失念しており,そのまま分割協議書が作成されてしまったというのが事実です。
① このような場合,遺産分割協議書を修正し,新たに真実の内容の遺産分割協議書を作成すればよいでしょうか。
② それとも,新たな生命保険の加入による保険料の支払いは,相続財産の一部を処分したことになり,したがって,その後の遺産分割はそれぞれ有効であって,その遺産分割の効力は相続開始の時に遡及して配偶者乙は長男丙に1,000万円の贈与をしたとみなされるのでしょうか。
③ 又は,長男丙は,生命保険契約に加入したことによって実質的に取得した保険料相当額1,000万円は遺産分割によって取得したことになり,その後,配偶者乙にこれを贈与したとみなされるのでしょうか。
生命保険契約に基づく被相続人(甲・被保険者)の高度障害に起因………
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