事業廃止に伴う被相続人の使用人に支払う退職金(1-1-5(5))

※ 本コンテンツは刊行日時点の情報に基づくものです

<問>

私はこのたび姉の遺産を相続することになりましたが(姉は独身であり,相続人は兄弟となっております。),姉は生前医師を開業しており看護師兼家事手伝いの女性を雇用(住込み)しておりました。姉の死亡により医業を引き継ぐものはおらず(子供がいないため),当然にその医業は廃止となり,当該看護師は解雇になったわけですが,彼女への退職金として1,000万円を支給する意思であります。この場合,この退職金は相続財産から控除しうる債務として認められるものでしょうか。

姉が雇用していた彼女は,正式な看護師としての資格はありませんが,28年間勤務してきております。

なお,姉は生前は白色申告をしており,その所得計算については社会保険診療報酬の所得計算の特例の適用を受けておりました。また,姉は個人の開業医であるため退職給与規程は作成しておりませんでした。

相続税法の規定によれば,相続税の課税価格の計算上控除することのできる債務は,「被相続人の債務で相続開始の際現に存するもの( 相法13① )」ということですが,債務の金額が確定していなくても債務のあることが確実と認められるものについては,相続開始の現況によってその確実であると認められる範囲の金額を差し引くことができる( 相法14① , 相基通14-1 )ともあり,次の理由により債務として控除しうるのではないかと考えておりますが,この点どのように取り扱われることになるのかご教示お願いいたします。

(1) 退職金支給の原因が28年間の勤務にあること

(2) 被相続人の死亡により医業を廃止せざるを得ず,看護師の退職が確定したこと

(3) 長期間雇用した従業員に対して退職金を支給するのは,現在社会通念上当然であること

(4) 退職した看護師に対して退職金の支払義務を有するのは相続人ではなく被相続人であり(被相続人と雇用関係にあったため),相続人は単に被相続人の債務を引き継いだに過ぎないものであること

(全文 文字数:1598文字)

相続税の課税価格の計算上控除できる債務は,相続開始の際現に存………

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