相続によって取得した未分割財産の国等に対する寄付(1-1-10(5))

※ 本コンテンツは刊行日時点の情報に基づくものです

<問>

租税特別措置法第70条「国等に対して相続財産を贈与した場合等の相続税の非課税等」の適用可否についてご教授下さい。

【事案の概要】

 被相続人:父。遺言なし

 相続人:母(認知症のため成年後見人の司法書士選任済。母は余命僅か。年内もつかどうか)・長女

 遺産:預貯金8,000万円,上場株式1,000万円

 申告期限:平成30年12月

長女は認定NPO法人6か所へ,総額数百万円程度の寄付を希望しています。

仮に,長女が分割協議の成立「前」に寄付を行った(領収書が遺産分割協議書の日付より「前」の)場合,措置法70条1項「~当該取得した財産をその取得後~贈与した場合」には該当せず,寄付財産は非課税とはならないでしょうか。

【分割協議成立前に寄付を行いたい理由】

後見人が遺産分割協議に加わる場合,通常は法定相続分通りの遺産分割が要請されます。

ただ,今回は母の余命がわずかで,母固有の財産も多いため,母の相続分が法定相続分を大幅に下回ってもよいか,後見人が家庭裁判所に意見を求めている最中です(つまり長女が法定相続分以上は必ず相続することになる)。

家裁の判断待ちのため,遺産分割協議の成立時期は現状不明です。

しかし,寄付先が多く,手続きや領収書発行がスムーズに行われるか微妙なため,寄付手続きを先行させたいと考えています。

そうすると,平成28年の最高裁判例で預貯金債権も遺産分割の対象とされていますので,「相続した財産を,相続後に贈与した場合」にあたらないのではと危惧しています。

(全文 文字数:2291文字)

措置法第70条第1項の規定では,相続又は遺贈により財産を取得………

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