贈与財産の価額を超える債務の引受けと譲渡所得の概算取得費の計算(1-2-1(5))
<問>
10年前に兄弟が父親から共有で土地を相続により取得して,その土地の上に共有で賃貸用の建物を建築して賃貸しておりましたが,その土地及び建物は,いずれもそれぞれ2分の1の割合による兄弟の共有です。そして,その建物の取得資金は金融機関から借入れをしましたが,兄弟の連帯債務とし,その負担については相互に2分の1と契約をしておりました。
今年になって,兄弟間の財産関係を整理する目的で,当該賃貸用の土地建物の所有権はすべて兄に帰属させることとして弟の2分の1の共有持分権を兄に譲渡し,その代わりに弟の連帯債務の負担部分を兄がすべて引き受けることにしました。
この建物の取得価額や連帯債務の残高(現在)の額は次のとおりです。
① 連帯債務の未返済金額12,000万円
② 当該建物の減価償却の未償却残高(帳簿価額)8,000万円 なお,この土地建物の通常の取引価額(実勢価額)は10,000万円と見られます。
③ 弟は,兄に対して,この土地建物の2分の1の共有持分を兄に贈与しました。同時に,債務の残高の全部を兄が引き受けることとしましたので,弟の連帯債務の負担額(12,000万円の2分の1相当額6,000万円)は零になります。
④ 毎年の不動産所得については,兄弟がそれぞれその共有持分に応ずる収入を基礎として所得税の確定申告をして納税をしておりました。また,金融機関に対する借入金の返済も,各人がその負担部分について毎月返済をしておりました。
以上の兄弟間の財産関係の整理の事実は,「弟の連帯債務の負担額6,000万円を兄が引き受ける代わりに弟の土地及び建物の共有持分権を兄が贈与を受ける」という負担付贈与に該当することになるものと考えます。
上記の事実を前提とした場合に,この負担付贈与に係る贈与税の課税及び譲渡所得課税はどのように行われることになるのでしょうか,ご教示ください。
なお,建物の取得価額は明らかですが土地の取得価額は不明です。そこで,この場合の譲渡所得の取得費の計算については,土地の取得費の額を零とし,建物の取得価額のみを計算の基礎として取得費を計算することになるのか,それとも土地建物の全体の譲渡収入金額の5%相当額をもって概算取得費の額を計算しなければならないのか,いずれでしょうか。
1 ご質問に係る事実が,連帯債務の額12,000万円のうち,………
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