相続によって取得した土地を相続人相互間において交換した場合(1-2-1(12))

※ 本コンテンツは刊行日時点の情報に基づくものです

<問>

平成27年4月に,被相続人Xが死亡し,その相続人であるXの妻甲,長女乙,次女丙,養子丁(長女乙の夫でもある。)の4名は,法定期限内に相続税の申告書を所轄税務署長に提出しました。Xは,公正証書による遺言書を作成しており,その遺言書によれば,遺産である居住用家屋の敷地A(650㎡)は甲が取得し,O町にある造成宅地B(2,100㎡)は,甲,乙,丙,丁4名の共有(各自4分の1の持分)で取得するように指定されていました。そこでこれら4人の相続人は,その遺言書のとおり,土地A,土地Bを取得することとして,それぞれ相続を原因とする所有権の移転登記を済ませていました。

ところが,その後,次女丙が妻甲と同居して妻甲の面倒を見ることになったことなどから,甲及び丙が居住する家屋の敷地Aの所有権の一部は,丙に所有させておいた方がよいということで相続人相互間で相談がまとまり,丙の有する造成宅地Bの共有持分権4分の1を甲に譲る代わりに,甲の有する居住用家屋の敷地Aの持分の一部を丙に譲ることとする,つまり,土地Bの共有持分と土地Aの共有持分とを交換することになりました。

ところで,この交換については,所得税法第58条の交換の特例の適用を受けたいため,丙は丙の有する造成宅地Bの共有持分権の価額と等しい金額の土地Aの共有持分権を甲から譲り受けることとし,土地A及び土地Bの時価を不動産鑑定士に鑑定してもらったところ,土地Bの4分の1の共有持分権の価額に等しい土地Aの共有持分は,3分の2であることが分かりました。そこで,甲はその所有する土地Aの共有持分3分の2と乙の所有する土地Bの共有持分(4分の1)とを交換することにしました。すなわち,不動産鑑定士の鑑定評価によれば,土地Aの共有持分3分の2の価額と土地Bの共有持分4分の1の価額は,いずれも2,800万円で等価であるということでした。しかし,所轄税務署で土地A,土地Bの相続税評価額を調べたところ,土地Aの共有持分3分の2の評価額は1,600万円,土地Bの共有持分4分の1の評価額は860万円とのことであり,差額が740万円生じています。

一説によれば,甲と丙が上記のような交換を行った場合には,所得税法第58条の交換の特例の適用が認められたとしても,その交換譲渡資産と交換取得資産の相続税評価額に差額がある限り,その差額740万円は,甲から丙に対する贈与として贈与税が課税されることになるということでした。

甲と丙は,親子の関係にあるとはいえ,丙は他家に嫁いだ者でもあり,今後同居するとしても,今までは生計は別で,相互に贈与する意思は全くありません。したがって,不動産鑑定士の鑑定評価額によって土地の持分の交換をしようとしているのですが,このような場合でも贈与税が課税されるのでしょうか,ご教示ください。

(全文 文字数:1167文字)

資産の交換は,交換の相手方から取得する資産の価額を対価として………

    この続きは「改訂第五版 専門家のための資産税実例回答集」に収録されています。
    全文をご覧になりたい方は、下記ボタンからご購入をお願いいたします。
    「改訂第五版 専門家のための資産税実例回答集」では、本事例だけでなく資産税に関する様々な事例もご覧いただけます。
  • 「改訂第五版 専門家のための資産税実例回答集」のご購入はこちら