傷害者以外の者が傷害保険金を受け取った場合の贈与税等の課税(1-2-5(1))

※ 本コンテンツは刊行日時点の情報に基づくものです

<問>

〈がん保険の受取人を変更した場合の受取保険金の取扱いについて〉

被相続人である夫甲は本年9月にがんで死亡しました。

妻乙は,夫の生前の昨年中に夫のがんの告知を受け,ガン保険の生前給付金を受給することになったのですが,契約者及び受取人が夫甲であったことから,妻乙は夫甲にがんの告知をしないようにして保険金の受給はできないかを保険会社に相談した結果,受取人を妻乙へ変更する契約変更の手続きを行い妻乙名義で生前給付金を受給しました。

そして,夫甲の死亡後は,妻乙が夫甲の生前における入院給付金等の給付を受けており,また,当該保険契約は夫甲が勤務する会社で団体契約を行っていたことから,契約変更後も保険料は給料から毎月天引きされていましたので,保険料の負担者が夫甲であることは明白です。

上記のような事例において,以下の問題をどのように考えたらよいでしょうか。

① 受取人が妻乙である夫の生前入院給付金(昨年中に300万円受給)については,がん治療や入院費用として使うために,妻乙の口座から速やかに引き出して夫甲の預金へ振り替えています。 また,今年も,生前に入院給付金200万円と死亡後に入院給付金250万円を受給しています。 夫甲が受給者である場合には課税関係は生じないと思いますが,上記のような理由であっても,一旦,妻乙が受取人として受給しているということになれば,生前贈与として考える必要があるのでしょうか。 本年中の受給分については,それが贈与であるとしても相続開始の日の属する年と同一年中の贈与であることから,その給付金は現金の相続として扱うのか生前贈与加算として取り扱うかの違いであり課税上は同じ結果になると考えてよいと思っていますが,昨年分については,その給付が生前贈与に該当するものであるとするならば,贈与税の申告義務が生じるように思います。

② 死亡後受給した夫甲の生前における入院給付金300万円については,保険会社より契約者妻乙に対して支払調書が送られてきましたが,保険料負担者は夫甲であることから,生命保険金の受給については受給時に夫甲から妻乙に贈与があったと考えるべきなのでしょうか。 それとも,上記のような特殊な事情(夫甲本人にがん告知をすることなく保険金を受給すること)を考慮して真の受取人は夫甲として生命保険金としての取扱いを行うのでしょうか。 なお,この保険契約の変更については,当然,被相続人である夫甲は知らずに妻乙の判断で行った手続きであることから,贈与は成立しないと思いますがいかがでしょうか。

以上,よろしくご教示ください。

(全文 文字数:4131文字)

①の質問について

質問の事例において,その保険契………

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