会社が受け取る生命保険金と相続税の株式評価(1-3-3(12))
<問>
下記の事例について財産評価基本通達179(3)(取引相場のない株式の評価の原則)の適用についておたずねいたします。
(1) A社の社長は,2年前の6月13日に死亡しました。
(2) A社の事業年度は,毎年8月1日より翌年7月31日です。
(3) A社は,社長の死亡2か月余が経過した9月3日に2,500万円の保険金を受け取り,その日の属する事業年度の雑収入(益金)に計上しました。
(4) 保険会社が証明する保険金支払確定の日は,社長が死亡した年の8月21日となっております。法人税の収益計上は(3)により益金に計上しました。
(5) A社は,社長が死亡した年の6月30日社長の相続人に死亡退職金2,000万円及び弔慰金200万円計2,200万円を支給することを決議しました。A社は,支払決議日の属する事業年度の損金として未払金に計上しました。
(6) 相続税の申告に当たり,上記法人の1株当たりの評価については,同通達186により債務に計上し,評価しました。
(7) A社が受け取った2,500万円の保険金は,1株当たりの純資産価額の計算上,法人の資産には計上していません。
法人が受け取った保険金については,相続税法にも財産評価基本通達にも純資産に算入しなければならないという法律も通達もありませんので,法人の資産には計上しなくてもよいと考えました。
ところが,これに対して,退職金は保険金が法人に入金することを前提として(予定して)法人の債務に計上していると思われるから,退職金を負債として株の評価上計算するならば,当然収入が予定される保険金は資産に計上すべきであるという強い意見があります。
私は,退職金は,財産評価基本通達186により明文があるので負債に計上しているのであり,保険金の請求権は成立しているが,相続発生時点では,上記(4)のとおり支払いは確定していないことからしても資産に計上すべきでないと信じていますので,保険金を資産に計上すべきであるという意見には賛成できません。反対意見の人は,相続人が直接受け取る生命保険金は,みなす相続財産として課税されているから,当然法人が相続税の申告期限までに受け取った生命保険金も相続発生時に収入が確定したものとみなして法人の資産(相続税評価上)に計上すべきであるといいますが,納得できません。
私は,法人の株式(出資金)の評価は,財産評価基本通達等で明示されているものは尊重し,適用しても,明示されていないものは,あくまで法人税法を尊重し,基本にして評価すべきだと信じています。よろしくご指導ください。
相続税の課税上,非上場株式の価額をいわゆる純資産価額方式によ………
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