純資産価額による評価における未収役員保険の取扱い(1-3-3(13))

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<問>

一般株主が取得した小会社の株式の価額は,評価会社の課税時期における1株当たりの純資産価額によって評価することとされていま( 評基通179(3) )。

したがって,原則としては,課税時期において仮決算を行うことになっているわけですが,直前期末から課税時期までの間に資産及び負債について著しく増減がないと認められる場合には,仮決算を行わず直前期末現在の資産及び負債を対象として課税時期に適用されるべき相続税の評価基準を適用して計算しても差し支えないものとされているようです。

ところで,税金,退職手当,功労金等財産評価基本通達186の(1)~(3)に掲げるものは,負債として取り扱うこととされています。

昨年死亡した被相続人甲が社長をしていた乙会社では,退職金及び功労金として4,500万円を支給しましたので,相続人のみなす相続財産として相続税の申告に計上すると共に乙会社の株式の評価に当たってこの退職金及び功労金は,負債として取り扱い,計算しました。

ところが,会社では,甲を被保険者として生命保険契約を結んでいたため,甲の死後,生命保険金6,000万円を入金しました。

退職金と生命保険金を関係させてみれば,差引きで会社の総財産は,甲の死後,1,500万円だけ増えたことになりますが,この生命保険金6,000万円を未収入金として株式の評価に含めて計算する必要があるのでしょうか。

あるいは,このような場合には,未払退職金を負債に計算しないという取扱いがあるのでしょうか。

退職金が1,000万円で,生命保険金が1億円という場合に,未収入金を計上すると株式の評価が一度に上がりますし,これに対する法人税等も考慮する必要があると思いますが,いかがでしょうか。

退職金や功労金については,相続人のみなす相続財産と株式の評価の重複課税を避ける趣旨で財産評価基本通達が定められたと思いますし,生命保険金は,課税時期以後に発生したものでありますから,株式の評価に関係のないものと考えてよいでしょうか。

(全文 文字数:2378文字)

ご質問は,相続税における小会社の純資産価額方式による株式の評………

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