兄弟間における土地の交換と固定資産の交換の特例(2-2-1(5))
<問>
譲渡所得の交換の特例は,同族関係者相互間で行われた交換でも相手方に利益を与える意図がなく,合理的な場合は税務上も正常な取引として等価交換に認められるとあり,心強く思いました。ただ,反面でたとえ土地の使用に関して親族間で争いがあり,裁判上の和解による交換でも直ちに客観的な時価による交換であるとは即断できないということでしたが,現に私が関与している次のような実案について,どのように取り扱われるかご教示ください。
まず,争いの発端から説明しますと,私の関与先であるAら兄弟3名が所有する土地,建物をAらの兄が経営する法人に賃貸していたところ,兄側が無断で建物を取り壊し,新たな建物を建築しようとしたため,争いが生じたものです。
Aらはそこで「建築工事続行禁止仮処分」の訴えを提起して,これが認められましたが,兄は「仮処分の異議申立て」をして争った結果,裁判長による和解勧告により,土地等の交換によって解決することになりました。
和解に至る過程では,文字通り骨肉相食む状況で,事実双方とも各々600万円に近い訴訟費用と世間から嘲笑を買う,厳しい犠牲を払いましたが,折角の裁判長の勧告でもあり,裁判長が委託した不動産鑑定士の鑑定評価により交換しようと考えています。
ただ,1つ気がかりなのは,相手方が依頼した鑑定士の鑑定では,交換物件に20%を超える差額が生じ,不等価交換とされて交換の特例が認められなくなるのではないか,ということです。和解に至った経緯は先にも説明しましたように真剣なもので,双方の弁護士とも全力を尽くした訴訟で,肉親間の争い故に和解に至った事情を証明した文書ももらっています。
決して,一方に利益を与えるような交換取引ではありませんし,正常な交換取引と認められると思うのですが,いかがでしょうか。
ご質問は,所得税法第58条の固定資産の交換の場合の譲渡所得の………
- 「改訂第五版 専門家のための資産税実例回答集」のご購入はこちら
全文をご覧になりたい方は、下記ボタンからご購入をお願いいたします。
「改訂第五版 専門家のための資産税実例回答集」では、本事例だけでなく資産税に関する様々な事例もご覧いただけます。