実質倒産の状況にある企業の保証債務を履行するためにした資産の譲渡による所得(2-2-2(8))

※ 本コンテンツは刊行日時点の情報に基づくものです

<問>

私は,従来,呉服・洋服の小売業を営む会社(株式会社)の社長をしていましたが,高齢(82歳)のため,事業経営はほとんど長男が行っていました。

ところが,店舗が市の中心部より離れているのとスーパーストア等に押され,経営が極めて悪化し(繰越欠損が数千万円),そのうえ長男が長期入院の末,昨年の3月頃より病気が悪化して遂に昨年7月に病死してしまいました。その結果,事業の再起の見通しが立たないことから事業を廃業し,解散しました(ただし,会社の建物があるためまだ清算結了に至っていません)。

以上のような状態で本年初めより会社は手形決済にも事欠くことになりましたが,幸い私に不動産があるため,銀行へそれを売却して決済したい旨の話し合いをし,会社は追加借入れをして手形を決済し,現在まで借入期日には順次切り替えてやってきました。

もちろん,従前のすべての会社の銀行借入れには,私が個人保証をし,不動産の担保を差し入れています。

さて,このたび,不動産の売却先が見つかり,その収入金で会社の銀行よりの借入金を返済しましたが,疑問点は,この不動産の譲渡が保証債務を履行するための資産の譲渡に当たるかどうかということです。

実質的に倒産状態にある会社の債務の保証をしてきた場合で,個人がその債務を弁済しなければ個人財産が差し押えられて競売に付されることが必至の状態にあるときに,個人財産を譲渡し,その収入で会社の債務の弁済をした場合には,保証債務を履行するための資産の譲渡に当たるものと考えますがいかがでしょうか。

(全文 文字数:3514文字)

所得税法では,保証債務を履行するために譲渡所得の基因となる資………

    この続きは「改訂第五版 専門家のための資産税実例回答集」に収録されています。
    全文をご覧になりたい方は、下記ボタンからご購入をお願いいたします。
    「改訂第五版 専門家のための資産税実例回答集」では、本事例だけでなく資産税に関する様々な事例もご覧いただけます。
  • 「改訂第五版 専門家のための資産税実例回答集」のご購入はこちら