中国子会社の見える化 第1回 中国子会社の経営実態の見方

有限責任あずさ監査法人 Global Japanese Practice 中国事業室 シニアマネジャー 公認会計士 増田 進
 シニアマネジャー 公認会計士,システム監査技術者,CISA 紫垣 昌利
 マネジャー 米国公認会計士,米国税理士 中村 祥子

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1.はじめに

これまで多くの会社から「中国子会社が作成した月次決算は本当に経営の実態を反映した数字なのか」,「中国子会社の財務部を合弁先が管轄していて経理の実態がよく見えない」といった質問が寄せられてきました。日本企業では今,中国子会社の「見える化」が大きな課題になっています。

そこで,本連載では会社からの声や質問を踏まえ,会社が求める「見える化」を実現するためのポイントを解説していきます。

連載開始にあたって,まずは本連載が目指す「見える化」とは何かを考え,連載の構成や進め方を説明したいと思います。

なお,本連載において解説する中国の制度等については,2015年4月末までに公表された主な中国の法令・通達等に基づいています。また,文中において言及した確認すべき手続きや方法は,あくまで執筆者の個人的な見解によるものであり,文中の日本語訳及び中国語訳も執筆者の試訳であることをお断りしておきます。

2.どのように「見える化」を進めるか

「見える化」(DisplayもしくはVisualization)とは,「可視化」と表現されることもあります。実務的には「経営の見える化」や「製造現場の見える化」という形で...