ちょっと役立つワインの小話 第15回 ワインのエチケットで芸術を楽しむお話

日本ソムリエ協会 ワインエキスパート/ワイン検定講師 佐久間 裕輝(米国CPA)

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ワインの「顔」となるエチケット(ラベル)には色々なタイプのものがあります。最近は幅広い年代層にアピールすることを目的に伝統的に使われてきたエチケットを斬新なデザインに大きく一新する銘柄や,そのワインに合うお料理のレシピをエチケット上で紹介しているワインなどもあります。

そうした,実にいろいろなエチケットが存在するなか,毎年著名なアーティストがそのデザインを手掛けているワインがあります。フランス・ボルドーの銘醸ワインである「シャトー・ムートン・ロートシルト」です。

この銘柄は,その名の通りあの"五本の矢"をシンボルとする金融財閥「ロスチャイルド」の「ロンドン家」の流れを組むバロン・フィリップ・ド・ロートシルトが手掛けるワインであり,ボルドーのメドック地区で1級に格付けされている5銘柄の一つです。一方で,同じ1級銘柄の中には「ラフィット・ロートシルト」という同じく「パリ家」の流れをくむドメーヌ・バロン・ド・ロートシルトが手掛けるシャトーがあるのですが,実は1855年パリ万国博覧会にて行われた最初の格付けでは,ラフィットが「プルミエ・ド・プルミエ(最高級の中の最高級)」と称され1級に格付けされた...