リース取引の会計実務,税務実務とIFRS導入の影響 第2回 会計上の簡便処理及び例外処理と,実務上の留意事項

監査法人トーマツ  井上雅彦

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本連載では,わが国の現行会計実務及び税務実務を振り返りながら,そのポイントや特徴を確認していく。また,「IFRSリース改訂基準案」で明らかになった方向性を踏まえ,日本の現行実務に及ぼす影響を検討する。

第1回で扱ったわが国の現行のリース会計及びリース税制における実務論点の整理を前提に,第2回では会計上の簡便処理及び例外処理と,税務上の所有権移転外リース取引の取扱い,及びそれらの関係を中心に取り扱う。文中意見にわたる部分は所属する法人と関係ないことをお断りする。

会計上の簡便処理及び例外処理

借手にとって,売買処理を行うこと,つまり,利息法による元利分解を行い支払利息の期間配分計算を行うことは極めて煩雑である。そこで,リース資産総額の重要性が乏しい場合には,所有権移転外ファイナンス・リース取引の会計処理について簡便的な取扱い(「簡便な売買処理」)が認められている。なお,所有権移転ファイナンス・リース取引には,ここで説明する簡便的な取り扱いは認められていない。具体的には,以下の処理を認めている。

【簡便な売買処理】

利息法による支払利息の計上を行わない簡便な方法で売買処理を認める。

<認める条件>

リー...