リース取引の会計実務,税務実務とIFRS導入の影響 第4回 サービスを含む解約の取扱い,貸手の処理の論点

監査法人トーマツ  井上雅彦

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本連載では,わが国の現行会計実務及び税務実務を振り返りながら,そのポイントや特徴を確認していく。また,「IFRSリース改訂基準案」で明らかになった方向性を踏まえ,日本の現行実務に及ぼす影響を検討する。

第4回は,サービスを含む取引,貸手の処理の論点を取り扱う。文中意見にわたる部分は個人の見解であり,所属する法人の見解とは関係がないことを申し添える。

現行日本の会計基準におけるサービスを含む契約の取り扱い

リース契約はリース以外の要素,例えばサービス要素を含んでいる場合がある。両者を含む契約の例としては,効果的な運用のための役務提供を含むシステム関連業務や,自動車のリースがメンテナンス・サービスを組み合わされている場合等がある。

リース要素と非リース要素(サービスなど)とで会計処理が大きく異なることから,両者の区分は重要である。現行の日本の会計基準は次のように定めている。

【リース取引に関する会計基準の適用指針第14項】借手が負担するリース料の中には,通常の場合,リース物件の維持管理に伴う固定資産税,保険料等の諸費用(以下「維持管理費用相当額」という。)が含まれる。現在価値基準の判定にあたり,維持...