Q&Aコーナー 気になる論点(147) IASB概念フレームワークの公開草案(14)

―ASBJのコメント①:認識規準―

早稲田大学大学院 会計研究科教授 秋葉 賢一

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国際会計基準審議会(IASB)が2015年5月28日に公表した公開草案(ED)「財務報告に関する概念フレームワーク」(以下「概念ED」)に関連し,企業会計基準委員会(ASBJ)では,2015年11月12日に,ショート・ペーパー・シリーズ第2号「概念フレームワークにおける認識規準」(以下「SPS第2号」)を公表しています。ASBJでは,どのような主張をしているのでしょうか。

A

現行のIASB概念フレームワークと異なり,概念EDでは,認識規準として蓋然性規準を明示していません。SPS第2号においてASBJでは,蓋然性規準に関する問題点を踏まえながらも,なぜ重要であるのかを明確化し,また,蓋然性規準がすべてのIFRSにおいて必要となるわけではないことを認識した上で,どのような場合に蓋然性規準が必要となるのかを決定するための考えられるアイディアを示しています。

<解説>

認識規準(1)‐現行のIASB概念フレームワーク

現行のIASB概念フレームワーク4.38項では,構成要素の定義を満たす項目は,次の両方に該当する場合に認識されるとしています。

認識規準概要蓋然性規準当該項目に関連する将来の経済的便益が...