ディスクロージャー・企業会計等をめぐる動向

金融庁総務企画局企業開示課 課長 田原 泰雅

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Ⅰ.はじめに

平成27年は,企業開示行政にとって非常に重要な一年となった。日本再興戦略を受け,6月には,「攻めの経営の促進」に向けて,「コーポレートガバナンス・コード」の適用が開始された。また,企業と投資家の建設的な対話を促進する観点から,情報開示ルールの見直しも着手された。会計基準を巡っては国際会計基準の任意適用企業が着実に増加した一方,人材育成等,課題も指摘された。一方,2月には東芝の不正会計問題が明らかになり,証券市場,そして日本社会が,再び有価証券報告書の虚偽記載,そして会計監査を巡る課題と直面することとなった。

本稿では,昨年1年間の企業開示行政を巡る動きを振り返るとともに,平成28年の課題をご紹介したい。

Ⅱ.コーポレート・ガバナンス

1.コーポレートガバナンス・コードの策定

昨年3月,金融庁と東京証券取引所を共同事務局とする「コーポレートガバナンス・コードの策定に関する有識者会議」における議論の結果,「コーポレートガバナンス・コード原案」が確定・公表された。これを受けて,各証券取引所は,関連する上場規則等の改正を行い,昨年6月より「コーポレートガバナンス・コード」の適用が開始された...