シリーズ「学生と語る会計基準」 西川教授のポイントレッスン! 第6回 減価償却

慶應義塾大学商学部 教授 西川郁生

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木村太一君 前回は個別論点に入り,収益認識を取り上げました。

教授 今回は減価償却,次回は減損について話合いましょう。減価償却は,単純な機械的計算であって,その意味でコスト負担の少ないものです。その証左として,一部の会社では,会計用と税務用など二重に計算することが必要なことがあり,その負担に耐えています。

投資回収計算と減価償却

教授 まず,投資回収計算における減価償却を考えましょう。企業は事業活動として投資を行います。投資活動を続けるためには,回収余剰(利益)を生まなければなりません。利益は人為的に区切った会計期間毎に算出するものですが,固定資産への投資は,資産が使用される期間に亘って中長期的に回収されるべきこととなります。各期に回収すべき額は,回収すべき総額を期間配分することによって算出されますね。

木村君 それが減価償却費ですね。減価償却は,投資回収計算であるとともに,再投資のための資金調達計算ということも聞きました。

教授減価償却に関して言われることは古典的な説明が多いですね。財務会計的には投資回収という見方になりますが,資金管理的に見れば,減価償却は資金流失を伴わない費用ですから,資金を伴う収...