Q&Aコーナー 気になる論点(151) IASBのリース会計基準(1)

-リースの性質-

早稲田大学大学院 会計研究科教授 秋葉 賢一

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国際会計基準審議会(IASB)が,2016年1月13日に公表したIFRS第16号「リース」において,借手は,原則としてすべてのリースについてリース負債を計上することとしています。これは,サービス契約とは異なるためなのでしょうか。

はい。IFRS第16号において,リースは,サービス契約により生じる権利・義務とは異なる権利・義務を創出するとしています。これは,サービス契約では,サービス履行時に,顧客が無条件の支払義務を負っていますが,リースでは,リース物件が借手に利用可能とされた時点で,借手がその使用権を支配し,また,貸手は使用権を借手に移転する義務を履行しているため,借手は使用権に対する無条件の支払義務を負っているためとしています。

<解説>

リースの分類

現行のIAS第17号「リース」では,わが国の会計基準と同様に,リースを2つに分類し,ファイナンス・リース(FL)では,リース物件の売買取引とみて会計処理し,オペレーティング・リース(OL)では,リース物件の賃貸借取引とみて会計処理しています。

しかし,まったく異なる2つのリース会計モデルにより,類似の取引が著しく異なる方法で会計処理され,取...