ハーフタイム ヒューマン・アクションにとって会計情報はどうあるべきか

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アメリカ会計学会が公表したASOBAT(1966)は,主に学者による会計理論の体系化であったためか,検証可能性を欠く時価と目的適合性を欠く歴史的原価を併記せよと求める報告方式は会計コストと実務負担を軽視していると批判された。目的適合性と検証可能性という相矛盾する情報属性を同時に求めたのも理論的におかしいと言われた。いろいろ批判されたASOBATであったが,会計を「情報システム」であるとか「意思決定のための行動科学」と定義するなど,その後の会計理論発展への貴重な"たたき台"となった。その第8章では,技術変化と人間行動についての知識の進歩によって会計の対象と方法は将来大きく変わると予言している。対象・方法とは,①意思決定のプロセス,②人間行動についての知識,③コンピュータ技術とシステムデザイン,④測定テクニックと情報理論,の4分野である。半世紀後のいま,誰しも予言が的中したとみるのは③くらいであろう。④は公正価値測定のテクニックなどは未だ試行錯誤の段階にある。

ここで疑問視したいのは上記で述べた対象・方法①と②である。2つともASOBATのいう会計の新定義に合うことは間違いない。情報技術も著...