コーポレートガバナンス・コード~2年目の対応に向けて~ 第1回 コーポレートガバナンス・コードで求められる取締役会の実効性評価

~我が国のガバナンス報告書の開示状況を見ながら~

PwCあらた監査法人 パートナー 公認会計士 小林昭夫

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はじめに

2015年6月より,日本国内上場会社全社に対してコーポレートガバナンス・コード(以下,「コード」)が適用されている。コードは,各証券取引所の上場規則に織り込まれ,各社はコードの適用状況について「コーポレート・ガバナンスに関する報告書」(以下,ガバナンス報告書)において開示することが求められている。コード適用初年度は,ガバナンス報告書提出について6カ月間の猶予期間が設けられ,例えば6月に定時株主総会を開催した3月決算会社においては,新様式のガバナンス報告書提出期日が昨年12月であった。しかし,この猶予は1年目のみに適用されるため,2年目は,2016年6月の定時株主総会後すみやかに提出するガバナンス報告書において対応することになる。

東京証券取引所が2016年1月20日に公表した「コーポレートガバナンス・コードへの対応状況(2015年12月末時点)」によると,東証1部・2部企業のうち1,858社がコードに対応した新様式でのガバナンス報告書を提出しているが,コードの73の諸原則のすべてを実施したと開示している企業は216社(11.6%)である。翻って,残りの1,642社については一つま...