グローバルプロセス効率化とグループガバナンス(下)

‐日立グループのIFRS適用‐

株式会社日立製作所 財務統括本部 担当本部長 今給黎 真一

( 20頁)

Ⅳ グループ統一財務会計システムとプロセス効率化

1. システム対応について

日立では,戦前から事務機械化への関心は強く,古くは電動式会計機の使用といった記録もあるが,本格的な機械化は,1950年代であり,パンチカードシステム採用の電動計算機に始まり,1960年代に全社事務総合機械化提案によって,電子計算機による経理処理の時代に入った。1970年代には,それまでの伝票式会計制度による経理基本業務から,全面的にコンピュータによる機械化へ移行し,EDP(Electronic Data Processing)会計基準を策定,その後,税務申告との関連が特に深い固定資産関連システムを始め,オンラインネットワーク,経営データベースなど,財務経理システムは発展を重ね,1980年代には日立製作所の共通決算システムが稼働した。1987年には連結範囲拡大により全子会社連結を開始したこともあり,1990年代に入ると本格的な連結決算システムがスタートし,現在の決算システム基盤の基本概念の原型が確立されたのは,2000年代前半である。2000年代の後半からは,グローバル連結ベースの全体最適の効率化・グローバル化がキ...