リース取引の会計実務,税務実務とIFRS導入の影響 第10回 リース契約上の論点及びIFRS第16号短期リース

有限責任監査法人トーマツ  井上雅彦

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本連載では,わが国の現行会計実務及び税務実務を振り返りながら,そのポイントや特徴を確認していく。また,IFRS第16号「リース」で明らかになった方向性を踏まえ,日本の現行実務に及ぼす影響を検討する。

第10回は,リース契約上の論点及びIFRS第16号「リース」~短期リースを取り扱う。文中意見にわたる部分は個人の見解で,所属する法人の見解とは関係がない。

リース契約上の論点1.瑕疵担保責任の免除

1.瑕疵担保責任とは

売買契約の目的物の規格,品質,性能などに瑕疵(欠陥)がある場合,買主は売主に対して,損害賠償,契約解除などを請求することができ,売主はその責任を負う。これを売主の瑕疵担保責任という。通常の賃貸借契約は有償契約であることから,売主と同様に賃貸人は賃貸物の瑕疵について,これを担保する責任を負う。

たとえば,パソコンを通常の賃貸借契約に基づき賃借する場合,パソコンを賃借した当初からソフトに不具合があり使用できないと賃借人は賃貸人に対して損害賠償を請求したり,欠陥を理由に契約の解除を求めることができる。

公益社団法人リース事業協会が公表している「リース契約書(参考)」15条では,「リース物件に...