内外で頻発する企業不正事件に,公認会計士は如何に対応すべきか
公認会計士/国際会計士倫理基準審議会(IESBA)ボードメンバー 加藤 厚
はじめに
最近,内外において企業不正事件が絶えない。それらは,最近大きな話題になった大手電機メーカーによる不正会計のように財務諸表に直接関係する事案から,財務諸表には直接関係しないがいずれは企業の事業運営に重大な影響を与えることにより結果的に企業の財政状態に大きなインパクトをもたらす案件(例えば,自動車排ガス試験における不正ソフトの使用,免震ゴムに関するデータ改ざん,建築業界における杭打ちデータ改ざん,食品廃棄物の横流し事件,自動車燃費データの不正,等)のように幅広い分野にまたがっている。
これらの事案は,いずれも法令遵守に反したいわゆる違法行為に相当するが,国際会計士倫理基準審議会(The International Ethics Standards Board for Accountants: IESBA) ① は,2016年7月14日にこのような違法行為又はその疑いに公認会計士が気が付いた場合に取るべき対応に関する新しい国際倫理規程「違法行為への対応」を公表した。
この新しい規程は,次の2つの点に大きな特徴がある。
① 全ての公認会計士が対象になること
今までの公認会計士は,財務諸表監査におけ...
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