ハーフタイム 「制度」としての連結・M&A・のれん会計

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「制度」としての会計基準には2通りのタイプがある。一つは設定国の法制度に整合的なタイプ,もう一つは法形式よりも経済実態を重視するタイプ。だが純粋型はない。

日本の会計基準はルール型と言われるが,連結子会社の定義は形式的な数値基準プラス実質支配力基準を採用している。旧商法は議決権数だけで形式的に判定していたが,証券取引法が1999年に一足早く実質支配力基準を導入し,新会社法もそちらに揃えたわけだ。ということで,その点では会計も法制度も一致している。

では,US・GAAP(米国会計基準)とIFRS(国際会計基準)はどうなのか。できるだけ広く適用されるべきIFRSは法制度に縛られるわけには行かず,典型的な取引の経済実態を重視する原則型と呼ばれる。他方,FASB(財務会計基準審議会)とIASB(国際会計基準審議会)は共同作業を密にして,近年とみに収斂著しい。US・GAAPは,IFRSと同一レベルの概念フレームワークを持つが,詳細なガイダンスを備えるためにルール型と呼ばれる。だが,二つのM&A会計基準はともに,他の企業の「支配」を取得するほうを親会社(取得企業),他に支配されるほうを子会社(被取得企...