Q&Aコーナー 気になる論点(178) 変動支払がある場合の取得原価

‐実務対応報告公開草案第48号の提案①‐

早稲田大学大学院 会計研究科教授 秋葉 賢一

( 42頁)

企業会計基準委員会(ASBJ)が2016年12月22日に公表した実務対応報告公開草案第48号「公共施設等運営事業における運営権者の会計処理等に関する実務上の取扱い(案)」において,運営権者は,実施契約において定められた運営権対価が,固定額ではなく,将来の業績等の指標に連動する形式で定められる場合においても,公共施設等運営権の取得時に,合理的に見積られた支出総額をもって計上することを提案しています。

変動支払がある場合の取得原価については,IASBでも十分解決されていない分野ですが,実務対応報告公開草案第48号では,なぜ具体的な会計処理を提案しているのでしょうか。

A:

それは,一般的な変動リース料などの包括的な検討の結果ではなく,公共施設等運営権制度では,運営権対価の全額が将来の業績等の指標に連動する形式で定められる場合においても,実施契約に規定された一定の算式に基づき運営権対価を算定することが合意されており,公共施設等運営権の取得時に,その価格は一に定まるものと考えられていることなどによるとしています。

<解説>

実務対応報告公開草案第48号(1)‐背景

2011年改正の「民間資金等の活用による...