ハーフタイム 「所有から使用へ」の潮流と現代会計

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わが国ではリーマンショック(2008)以来,「デフレ傾向が続き消費が低迷しているが,経済が安定すれば過少消費は解消する」という意見がある。他方「いやデフレというよりも経済が成熟化し,物価は安定しているだけだから物価はそう上がらないだろう」という人もいる。後者の意見によれば,消費停滞や過少消費の原因は,人々のモノ離れ・人口減少・若い世代の消費意識の変化など,いくつかの構造的な背景に起因することになる。

高度成長時代に育った世代は,三種の神器と呼ばれた家電製品や車を買い・所有し・使うことに喜びと幸せを感じたが,今の若い世代はモノを買うことに価値を認めず,消費に喜びを感じないようだ。

中国でも若い世代を中心として消費マインドが変り,"メンツ重視型"の消費は後退していると聞く。背景には,景気低迷や経済成長の鈍化もあろうが,奢侈消費は暖め燃焼する火に似ていて,消費市場が成熟すると必需品を上回る支出には価値を認めなくなる傾向があるのだ。

このような消費者の意識と行動の変化は,「所有から使用へ」という現代会計の潮流を理解するうえでも,資産概念の変化を知るうえでも参考になる。

「所有」は,民法第206条によれ...