役員の報酬・賞与・慰労金の基本と実務Q&A<199> 取締役解任の正当な理由(4)

 弁護士 小林 公明

( 30頁)

6 各判例とその分析(4)

前回(本誌 No.3296 参照)に続き,質問に対する回答として,正当理由の存否に関する最近の判例を概観し,それぞれ関係する事項を述べる。

各番号の○×は,正当理由の存(○)否(×)を意味し,その存在を認めた判例の各類型の番号とその内容のキーワードは,それぞれ①法令定款違反,②心身の故障,③職務不適任や能力欠如,④経営判断の失敗,⑤業務執行の障害である。

〔12〕○ 秋田地判平成21年9月8日 LLI/DB判例秘書L06451039,金判1356号59頁(①類型)(1)判示「第2 事案の概要(中略)2 争いのない事実等(証拠等を掲げたもののほかは当事者間に争いがない。)(1) 当事者ア 原告は,美容院・理容院等の経営等を目的とする株式会社(特例有限会社)であり,秋田市aで美容室Z(以下「本件店舗」という)を経営している。イ 被告は,原告の設立日である平成17年5月23日から平成20年7月30日まで,原告の代表取締役の立場で本件店舗の営業を担当していた美容師である。(中略)第3 当裁判所の判断(中略)(1) 被告は,平成17年5月まで,原告代表者Aが代表取締役を務めてい...