いまさらきけない会計基準等と実務のポイント 第10回 上場会社株式の評価(税効果会計を含む)

新日本有限責任監査法人 公認会計士 安福 健也

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1.はじめに

第10回は,「上場会社株式の評価(税効果会計を含む)」を取り上げます。会計ビッグバンの一貫として,「金融商品に係る会計基準(企業会計審議会が設定)」が,平成12年4月1日以降開始する事業年度から適用されました。これにより,従来の取得原価主義会計から時価会計へ大きく舵がきられることとなりました。

その後,「金融商品に関する会計基準(企業会計基準委員会が設定)」へと改正され,最終改正からも9年が経過しましたが,近年における第2次安倍内閣の諸施策や,米国トランプ政権誕生等により,上場株式は目が離せない価格変動を示しており,金融商品に関する会計基準(以後,本稿では「基準」という)適用の重要度は増していると考えられます。

今回は,上場株式(子会社株式,関連会社株式及び自己株式を除きます)を取り上げ,基準における基本的な評価方法を確認したうえで,金額的影響も大きい「減損処理」について,税効果会計もふまえたうえで「いまさらきけない」事項や留意点をまとめます。

2.上場株式(子会社株式,関連会社株式を除く)の評価

株式を購入によって取得する場合には,購入対価に購買手数料等の付随費用を加えた取得原価...