「『会計監査人をどう選ぶか?会計監査人に何を求めるか?』アンケート」からみる財務諸表作成者から見た監査実務と課題

 公認会計士 那須 伸裕

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はじめに

財務諸表監査の実務は会計士や監査法人が勝手に行うものではなく,財務諸表作成者の意図を十分に理解し,より良い開示を求めて行うものと考える。そのため,財務諸表作成者は昨今の監査実務をどのように見ているかを知ることにより課題を導き出すことが有用と考えた。

税務研究会の会員組織「企業懇話会」のご協力を得て,昨年6月から8月にかけて,会員企業(1,163社)に対して「『会計監査人をどう選ぶか?会計監査人に何を求めるか?』アンケート」(以下,「アンケート」という。)を実施し,115社の皆様から回答をいただいた。

結果は,企業懇話会会員サイトのMonthly Accounting Topics第85号及び第86号で報告されているが,本稿ではその中から,会計監査人に対する評価のポイント及び「監査法人ローテーション」に対する考え方並びに昨今の監査実務に対する意見と課題を整理する。

回答者の属性について,役職では約8割を部・課長クラス,会計監査への関与経験では10年以上の方が約7割を占め,約8割の方が責任者又は主たる担当者として会計監査人に対応されており,大半の方が十分な監査対応経験をお持ちであり,「監...