世界の会計事務所から 第13回 南アフリカ日本企業が進出する際の留意点

KPMG南アフリカ シニアマネジャー 佐々木 一晃

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1.はじめに

日本企業がサブサハラ・アフリカ(北アフリカを除いた,サハラ砂漠より南のアフリカ地域)への新規進出を考える場合,まずはゲートウェイとして南アフリカへ進出するケースが多い。これは,他のサブサハラ・アフリカの各国と比較して,日本人駐在員の住環境や会計・税務・法務等の社会的インフラが整備されていることが主な要因である。

しかし,南アフリカは日本から地理的に遠く,他の地域や国と比較して,日本企業の進出も決して多くはないため,日本からアクセスできる情報は限られている。この記事では,よくある問い合わせを紹介する。

2.南アフリカへの進出形態

「南アフリカでの一般的進出形態を教えてください。」

日本企業が南アフリカへ進出する場合の形態は下記のとおりであり,外国企業として駐在員事務所や支店を設置するか,非公開会社として子会社を設立する場合が多いように思います。

外国会社子会社(非公開会社)子会社(公開会社)駐在員事務所支店特徴外国会社本社と同一法人とみなされる外国会社本社と同一法人とみなされる独立した南アフリカの法人有価証券(株式等)の公開募集を禁止され,株式譲渡を制限独立した南アフリカの法人有価証券...