株式会社Stand by Ｃ　公認会計士・税理士　大和田 寛行

【図表１】PPAにおける無形資産評価の一般的なプロセス

前回は無形資産の認識プロセスについて詳しく解説したが，今回は，無形資産の認識を行った後の測定プロセスについて解説する。

１．無形資産の測定プロセスの概要

前回（ 本誌No.3318 ）説明したように，無形資産の評価実務においては，認識プロセスにおいて初期的資料の分析や買い手企業へのインタビュー等を実施し，認識すべき無形資産を特定する。その後の測定プロセスにおいては，認識対象と判断した無形資産についての定量的な評価を，価値評価の実務に基づいて進めることとなる。

無形資産評価においては，他の資産の価値評価の場合と同様に，絶対的な解が存在するわけではなく，個々の案件において概ね合理的かつ妥当と考えられる算定結果を導くことがゴールとなる。そのために，評価者は無形資産の認識プロセスにおいて買収案件の目的や被買収企業の事業特性等を理解した上で，測定プロセスにおいてそれらの理解に基づき適切と考えられる評価手法の選択や前提条件の設定を行い，無形資産価値の測定を行う。

以下，無形資産の測定プロセスにおいて検討すべきポイントについて，どのような考え方に基づき評価手...