強制適用間近!一般事業会社向け おさらいIFRS第9号 第2回「金融商品」 実務上のポイント①

有限責任あずさ監査法人 公認会計士 太田 実佐

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第2回及び第3回では,IFRS第9号の主な改訂点の内,一般事業企業が保有すると思われる金融商品について以下の項目をとりあげ,実務上の適用方法や留意点について設例とともに説明します。

① 資本性金融商品への投資のFVOCIオプションの適用

② 営業債権に関する予想信用損失の見積りに係る実務上の便法

③ 純額ポジションのヘッジ

④ ヘッジ手段の一部指定及びヘッジコストの会計処理

今回は上記のうち,①及び②について解説します。

Ⅰ.資本性金融商品への投資のFVOCIオプションの適用

当初認識時に資本性金融商品に対する投資のうち,売買(トレーディング)目的保有ではない 投資の公正価値の事後の変動について,その他の包括利益に表示するという取消不能の選択を行うことができます。この選択は銘柄毎に行うことができます。また,利得又は損失の累計額を資本の中で振り替えることが可能です。

以下,資本性金融商品への投資のFVOCIオプションの適用にあたっての留意点などを説明します。

1.為替換算

資本性金融商品への投資にFVOCIオプションを適用した場合には,公正価値の事後の変動に,関連する外国為替部分も含まれ,当該部分もその他の...