私の会計史 theme5 本店経理部で本格的に会計を学ぶ

  藤田敬司

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決算管理室というところ

1975年3月,ブラッセル・ロンドンと6年に及ぶ欧州勤務を終え,希望通り本店経理部に帰任できた。海外勤務中に疑問点があると,問い合わせに的確に答えてくれた経理部決算管理室とはどのようなところか興味を持ったからだ。本店にはセグメントごとに営業経理部があり,そこからと国内外支店からの会計報告を含めて個別決算報告を,また内外子会社・関連会社からの報告も含める連結財務報告を作成するところである。グループ全体に適用する経理規程(個別篇,連結篇,税務篇の三部構成)と会計処理方針を定め改編するのも経理部,それを運用する約600名の経理要員の人事を管掌するのも経理部である

配属されたのは同室の単体決算グループ。期末に着任したため,即刻決算業務開始。当時は決算業務の機械化が完成していなかったため,集計作業はそろばんが頼り,海外からの外貨建ての決算報告は期末換算レートをかけて集計する人海戦術だった。社内取引から生じた貸借勘定や費用収益を相殺消去し,制度会計上必要な調整を加えて会社決算数字を固めるのは体力勝負だった。その点お世辞にも面白いとは言えない無機質な仕事だったが,全社ベースの...