収益認識基準公開草案の検討 財務諸表作成者の問題意識と実務対応 File02 日本百貨店協会

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企業会計基準委員会(ASBJ)が7月20日に公表した企業会計基準公開草案第61号「収益認識に関する会計基準(案)」等の内容について財務諸表の作成者側として検討を重ねてきた日本百貨店協会。同協会専務理事の山崎茂樹氏と業務・政策統括部政策部長・佐藤信彦氏に話をきいた。

1.公開草案について

――ASBJが昨年実施した収益認識基準の開発に向けた意見募集で日本百貨店協会は意見書を提出しました。その意見を踏まえて今回の草案をどう見ていますか。全体的な評価をお聞かせください。

山崎氏: 商品券等に関する収益計上のタイミングやその会計処理についてはさらなる検討をお願いしたいと考えています。ただし,全体として受け入れがたい内容ではないというのが業界の認識であると思います。概ね受け入れ可能な流れになっています。

――企業の実務家にとって基準案は理解しやすいものになっていますか。

山崎氏: 基準自体はIFRSがベースですから全てが原則です。いま問題になっているのは,対応の "幅"の認識だと思っています。監査法人や会社側で按配できる"幅"に対する認識が日本では定着していませんから,そのための一環としてもできるだけ分かり易い書きぶり・表現にしていただけるとありがたいですね。

――ASBJが基準開発に着手してから草案の公表に至るまでの間,業界での意見共有はどのようにされていましたか。またASBJと意見交換はされたのでしょうか。

山崎氏: 業界内では当協会が話し合いの場をいくつか設けておりまして,年に数度,加盟社が集まって話し合いをしてきました。そこで共有した意見がコンセンサスとなり,各社に広がっていくかたちで行われています。

佐藤氏: ASBJに対しては,昨年の意見募集の際(2月)に当協会にお越しいただいて意見を交わしました。今年も4月に意見交換をしましたが,かなりテンポよくやり取りをさせていただいた印象です。お互いに考え方を伝え,理解できたと思います。

2.百貨店業界が注目する重要論点

――昨年の意見募集ではいくつかの論点をあげて問題を指摘されていました。

佐藤氏: 私たちの業界にとって大きな影響が予想されたのは,本人・代理人の問題と商品券の収益認識の問題,送料込ギフト商品の区分管理の問題でした。

①本人か代理人か(総額表示又は純額表示)

山崎氏:この議論に入った当初は「本人か代理人か」というのはそもそも何のことかと思ったも...