厳選!現場からの緊急相談Q&A 第46回 債務超過子会社に関する会計処理

有限責任監査法人トーマツ 公認会計士 近藤 雅治

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経理部員 :当期業績が急激に悪化し債務超過となった連結子会社(以下「S社」といいます。)は,当社が80%の持分を有する非上場会社ですが,出資以外にも貸付を行っているほか,銀行借入に対する債務保証も行っています。S社について,単体決算および連結決算でどのような点に注意したら良いでしょうか。
会計士 :単体決算では,S社株式およびS社への貸付金の評価,また,債務保証損失引当金の計上を含めた必要な手当てについて検討する必要がありますが,評価の方法や手当てを行うべき範囲がどこまでかは,実務上,悩むことも多いかと思います。
 連結決算では,単体決算で行ったS社株式の評価損やS社への貸付金などへの手当ては,原則として消去されることになりますが,S社が債務超過であることに起因して,S社の非支配株主が負担する額がいくらになるのかについても問題となるケースがあります。
 また,債務超過解消に関して想定される論点についてもあらかじめ検討しておくことが大切だと思いますので,一緒に確認していきましょう。
 なお,以下の解説では税効果および銀行法による議決権保有制限は考慮外としています。

(文中の意見にわたる部分は,筆者の私...