注記実務の留意点 第1回 会計方針の変更・未適用の会計基準等

仰星監査法人 公認会計士 荻窪 輝明

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はじめに

今回からスタートする本連載では,有価証券報告書における注記実務の留意点について解説していく。連載の第1回では,「会計方針の変更」と「未適用の会計基準等」について解説する。

なお,本稿では,日本基準の採用を前提とし,いわゆる過年度遡及の適用については,解説を簡略化する観点から原則的な取扱い又は経過措置に従うものとし,第1回の解説に関連する論点について触れる程度にとどめ,また,原則的な取扱いが実務上不可能な場合については説明を割愛することをあらかじめご了承いただきたい。

また,参照する会計基準等について,第1回では以下の略称を用いる。

会計基準:会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準(企業会計基準第24号)
適用指針:会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準の適用指針(企業会計基準適用指針第24号)
監査上の取扱い:正当な理由による会計方針の変更等に関する監査上の取扱い(監査・保証実務委員会実務指針第78号)

1.会計方針の変更

会計方針は,例えば棚卸資産の評価方法を先入先出法から総平均法に変更する場合などのように,財務諸表の作成にあたって採用した会計処理の原則及び手続をいう(会計基準第4...