公認会計士・監査審査会の取組みについて

公認会計士・監査審査会 事務局長 松尾元信

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1.はじめに

会計監査は,企業による財務状況の的確な把握と適正な開示を確保し,その適正・円滑な経済活動を支え,これを日本経済の持続的な成長につなげていく前提となる極めて重要なインフラであり,近年の不正会計事案等を背景に,監査品質に対する社会の期待はますます高まってきている。

公認会計士・監査審査会(以下「審査会」という。)は,このような考え方に基づき,公認会計士監査の質の向上を図り,その信頼性を確保することにより,投資者の資本市場に対する信頼の向上に努めることとしており,本稿ではその主な取組みについて説明する。

2.平成29事務年度のモニタリングについて

(1)平成29事務年度監査事務所等モニタリング基本計画等の概要

審査会は,会長及び委員の任期(平成28年4月~平成31年3月)に合わせた基本的なスタンスを「監査事務所等モニタリング基本方針(審査・検査基本方針)‐より実効性のある監査の実施のために‐」として平成28年5月に公表している。

このような基本方針を踏まえ,毎事務年度ごとに具体的な活動の方針を基本計画として策定しており,平成29事務年度の活動方針として,「平成29事務年度監査事務所等モニタ...