IFRSをめぐる動向 第105回 動的リスク管理の検討状況

PwCあらた有限責任監査法人 公認会計士 川端 稔

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1.はじめに

本連載は,主に国際会計基準審議会(IASB)及び米国財務会計基準審議会(FASB)の月次合同会議等での討議内容に基づき,IFRSをめぐる最新の動向を伝えることを目的としています。

IASBは,2017年11月から,動的リスク管理(Dynamic Risk Management)の会計基準の作成に向けた議論を再開しました。2017年11月および12月のIASBの議論については,「IFRSをめぐる動向 第103回 動的リスク管理(マクロヘッジ)」(本誌No.3347参照)において説明しています。

本稿は,IASBにおける動的リスク管理に関する最近の検討状況として,2018年2月,3月および4月開催のIASBの会議までの議論の概要を取り上げます。なお,文中の意見にわたる部分は,筆者の私見であることを予めお断りしておきます。

2.資産プロファイル

2018年2月開催のIASB会議において,動的リスク管理会計モデルにおける資産プロファイルについて議論が行われました。資産プロファイルとは,動的リスク管理モデルにおいて管理対象となる資産のポートフォリオならびに当該ポートフォリオから発生する将来キ...