ハーフタイム リズムによる学習と暗黙知

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日頃から本や新聞に親しんでいたり,規則正しい生活を促している家庭の子供は,親の収入や学歴は高くなくても,好成績を示す傾向がある(文部科学省2017年春の全国学力テスト分析結果より)。本や新聞を毎日楽しく読み続ける,規則正しい生活を送る,それにふさわしい環境を整える,これらは学習を習慣化するうえで良い方法であることは明らかだ。

だが何も子供に限らない。大人でも"良い習慣を増やし,悪い習慣を減らせば",体力も知力も確実に向上する。冒険家の三浦雄一郎氏(85歳)の"ヘビーウォーキング"によるメタボ退治は有名だが,朝の体操や読書のような日常的行為であっても,時間を決めて毎日繰り返せば,無理なく習慣化できる。そのとき目標とする習慣は,行為をリズムとして身体に覚えさせること。それによって生活習慣病は治り,脳も活性化する。

ちなみに,劇作家・評論家の山崎正和氏によると,リズムとは「本能から習慣へ,生理的肉体から文明的身体へという重大な移行が起こるとき,両者の仲立ちをして,移行の軌道となるもの」であり,「身体は習慣の持続力によって内から統一されており,肉体は循環器のリズム・消化器のリズム・脳神経のリズムな...