<INTERVIEW>ベトナム財務省 会計・監査監督局長にきく~ベトナムにおけるIFRS導入について
<編集部より>
世界各国で進む国際会計基準(IFRS)の適用。7月5日に開催された企業会計審議会総会でも,2018年4月時点で「すべてまたは大部分の主要企業に対して強制適用している」のが138法域,「任意適用を認めている」のが12法域と報告されたところだ。
そのような中,ベトナムでもIFRSの導入に向けたプロジェクトが進行している。先頃,ベトナム財務省や証券取引所等の政府関係者が日本を訪問した。導入に当たり検討すべき課題や先行事例の研究等が目的だ。本誌は,訪日の一通りの日程が終了したタイミングで,訪問団の団長であるベトナム財務省 会計・監査監督局長のヴ・ドゥック・チン氏にインタビューを実施。訪日の成果や今後の導入スケジュール等についてお話を伺った。
1.訪日の成果について
――今回の訪日では,どんな気づきがありましたか。
今回,私たちは,金融庁や日本公認会計士協会,IFRS任意適用企業など,多くの組織を訪問することができました。それらはすべて,IFRSに関連する当事者です。
いずれの訪問においても,とても親切にこれまでの経験をお話ししてくださいました。新たに認識・確認できたことも多く,どの情報も,今後ベトナムでIFRSを導入していくに当たって参考になるものです。
具体的には例えば,以下の3点について教訓を得られました。
①適用する基準について
日本には,並行して4つの基準(日本基準,米国基準,IFRS,JMIS)が存在しています。さらに,中小企業向けのガイドライン(編注:「中小企業の会計に関する指針」,「中小企業の会計に関する基本要領」)もあります。
それぞれの企業が,自身の状況に応じて適切と考える会計基準を適用していることが,効果的・効率的だと感じました。特に,中小企業はリソースが限られているため,簡素化されたルールでよいとされている点は理に適っていると思います。
②IFRS任意適用企業について
IFRS任意適用企業は上場企業が中心とのことですが,任意適用の進捗状況は業種によって様々でした。このことは,どの業種にIFRSは適用しやすいか(もしくは,どの業種においてIFRSの適用が困難か)という点を見極める点で,非常に有用な参考情報となりました。
③適用の形について
現在日本では任意適用という形をとっていますが,当初は強制適用も検討され...
- 経営財務データベースで続きを読む
-
無料 2週間のお試しはこちら
すぐに使えるIDをメールでお送りします